学習塾という言葉にまだなじみが少ない時代、ちょうど70年安保で学生紛争を経験した人たちが社会人となり、一般企業への就職を避け就職浪人など、定職になかなかつけなかった時代。
現在のようにITなどかけらもない時代であったから、学歴、知識の高い人たちは家庭教師や学習塾(数人から数十人の学習指導をする)で教えることで生活を始めていたようです。
バブルの前兆も見えてきた時代だったのか、大学への進学率も高くなり、高学歴をわが子に求める親達の教育熱も高く、公教育だけでは進学が出来ないという風評も後押しして、企業化する学習塾が沢山出てきた時代です。
私は、大学時代から、アルバイトで学習塾で講師を務め、結構な報酬を得ていたこともあり、ちょうどアルバイトをしていた学習塾の一つが企業化する時期と重なり、私教育に飛び込みました。
まだ、社会的に学習塾が地位を築いているわけでもなく、周りの人たちには心配をかけたのではないでしょうかね。
その時期は、とにかく自分に子供が出来たとき、お父さんの仕事と聞かれたら、学習塾に勤めていると胸を張って応えられるような塾にしようというのが合言葉で、私達の年代から学卒で就職してくる新入社員に、大手の銀行の研修システムを取り入れたり、社会的な知識、教養をつけるための研修など沢山勉強させてもらいました。
塾の講師というのは、子供達に勉強を教えるだけでなく、父母会で親御さんたちに教育についての話をすることも必要ですし、入塾のための説明会ではセールストークも出来なければなりません。
また、私立中学の受験では、他の塾生も一緒に模擬試験を行い、普段の何十倍もの子供達や親御さんたちの前で、受験についての話をすることも必要でした。
ですから、仕事柄、人前で話をする機会はかなり多いほうだったと思います。
こうしたことをあがらずに出来ていたのは、会社としての研修で、朝礼時にまずは3分間スピーチが急に当たることがあり、そのネタ仕込みを意識して行っておかなければならなかったということがあります。
新聞、週刊誌、漫画、テレビなどこれ面白そうというものがあれば、前後を組み合わせて話を組み立てる練習は散々やりましたね。
そして、やはり業界のニュース、動きなどは注意してチェックしておくこと。後は、接する子供達といろんな話をして、何が求められているのか、何を提供すると喜ばれるのかといったことを考えていたように思います。
学習塾から今の仕事に鞍替えしてからは、以前ほど人前でしゃべる機会はないですが、それでも新年度生募集の説明会で話したり、高等学校の先生達とお話をする機会はありました。
今は、引退しましたから話をする機会は減っていて、娘や親戚の結婚式、高校の同窓会など話をするくらいです。ただ、昔取った杵柄でしょうか、何の話をしようかとまとめる時間さえあれば、30分くらいまでならスムーズに出来ますね。
ただ、一度、学生の謝恩会で本来ならば理事長が挨拶するところで、急に振られたときは緊張しました。話す内容はすぐ決めることができ、スピーチを始めましたが、急に振られたという緊張感で、最初声が上ずってしまったことを覚えています。
初めての経験だったような気がします。
この経験を通して、後になって気が付いたのですが、人前に出てあがらない人というのは、常に人前に出ることの心構えが出来ている人で、話のネタとなるものを沢山引き出しとして持っているんじゃないかということ。
政治家の人たちは、チャンスがあれば、自分がしゃべろうと思っているでしょうし、自己顕示欲の強い人は常に目立ちたいと思っているでしょう。立場的に、話をする機会の多い経営者や学識者であれば、自分から手を上げなくてもしゃべることを欲される機会は多いでしょう。
だから、急に振られたとしても、気持ちで舞い上がることはないんでしょうね。
そして、そういう人たちは、語彙力も多く、様々な機会でしゃべるので言葉のTPOも身についているでしょう。冠婚葬祭では特に忌み嫌われるような言葉もありますから、特に原稿がなくても言葉を選びながらスピーチをすることが出来るのでしょう。
友人や知人が、結婚式のお祝いのスピーチが当たっていて、一生懸命覚えたのに、当日頭が真っ白になって、全部飛んでしまったなどとぼやくのを聞きます。
もうすぐ自分の番だ、失敗ししないだろうかなど、どちらかというとネガティブな感情が中心になり自分で自分を追い込んでしまう。準備したスピーチもスピーチ集などから抜き出し作り変えた自分の言葉でないものをマル覚えしているとなると、よい結果を引き出すのが難しいコンディションになっていますね。
スピーチの準備は、作文や論文などの文章と同じで、良いもの・人に思いを伝えることのできるものは、時間をかけて作らなければ人の心は動かないといわれます。
最近流行のブログやSNSの文章は、スマホや携帯端末の普及で、日常会話のように簡単にメッセージが作られるようになっていますが、内容のある読み手にメッセージが伝わる文章というのはそれなりに準備されたものが多いです。
セールスレターを書くことを職業としている人たちでも、一通のレターを書き上げるための準備に数日から数週間をかけるといいます。それだけ、準備をするからこそ、プロとして通用する文章が書け、生業に出来るのだということです。
私たちは、スピーチや文章で生活をしているわけではないですが、やはり人の心をうつスピーチをしたり、文章を書くためには十分な準備をする必要があるなぁ。。。と思った次第です。
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